「大経」の概要


・「大無量寿経」の正宗分(上巻)


それでは「大無量寿経」の一番重要な部分である正宗分を大まかに見ていきましょう。

「大無量寿経」は上下2巻あって、上巻では”弥陀成仏の因果”が説かれ、下巻では”衆生往生の因果”が説かれます。さっそく難しいワケわからん言葉がでてきましたが、大丈夫です。一つづつ分解して解説していきます。

上巻の”弥陀成仏の因果”とは、簡単に言えば、

【弥陀成仏】…《法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)という方が一生懸命厳しい修行をして阿弥陀仏という仏さまになられた

ということについて

【因果】…《なぜ修行しようと思い立って、どんなことをしたのか。そして仏さまになってどんなことができたのか

ということです。


  【弥陀成仏の因】

では「なぜ修行しようと思い、どんなことをしたのか?」の部分を見ていきましょう。 まずこれは、お釈迦さまがいた時代、世界とはまた違う世界での話だということに気をつけて下さい。    

 浄土真宗の仏さまである阿弥陀仏は、もともと法蔵菩薩という方でした。法蔵菩薩は王子だったのですが、位を捨て修行者となり、世自在王仏(さじざいおうぶつ)という仏さまの弟子となります。

 ある時法蔵菩薩は、師匠の世自在王仏に様々な仏さまの世界を見せてもらいます。”仏さまの世界”はいくつも存在していて、その世界はそれぞれ仏さまたちの”願い”で作られており、言葉や考えを超越した、輝く世界です。さまざまな仏の世界を見せてもらった法蔵菩薩は、師匠に向かって言います。

「師匠、さとりの世界は素晴らしい。どの世界も苦しみが無くてよろこびに満ち溢れている。しかし、これらの素晴らしい世界に来ることができず、迷いさまよって困っている”いのち”があると思うのです。私はその者たちを救いたい。そしてその者たちが一人残らず来ることのできる世界をつくりたいのです。」

こうして思い立った法蔵菩薩は、その”願い”をどうすれば実現できるのか、具体的に考えました。そしてその計画(願い・誓い)、が「四十八願」です。そして理想の実現に向け「必ず成し遂げる!」と誓いをたて、果てしない修行をしました。


 ・【弥陀成仏の果】

その後、法蔵菩薩は計り知れない長い時間をかけ修行し、四十八願(計画と誓い)を成し遂げたのです。法蔵菩薩は阿弥陀仏となり、西の方角に極楽浄土を作り上げ、さらに全ての者が救われ、この極楽浄土へ来させる手段(法)を「南無阿弥陀佛」の名号に組み込んで、あらゆる者へはたらきかけるように完成させました。



 ・「大無量寿経」の正宗分(下巻)


 次に、下巻の”衆生往生の因果”の解説です。

”衆生往生の因果”とは簡単にいうと

【衆生往生】…《すべての生きとし生けるものが阿弥陀仏の誓いのはたらき(南無阿弥陀佛)で、極楽浄土に生まれ、仏と成らせていただくこと》

ということについて

【因果】…《どうして極楽浄土に生まれることができるのか。そして仏となった者はどうなるのか。》

ということです。


 ・【衆生往生の因】

 では、「なぜ衆生は極楽浄土に生まれることができるのか?」ということについて、一つづつ見ていきましょう。

 まず、「衆生(しゅじょう)」というのは、広い意味としては”生きとし生けるもの”と言う意味です。浄土真宗の関連書物やご法話の席では”凡夫(ぼんぶ)である私たち人間”という意味合いで使うことが多いです。

私たち人間は日々の生活の中で無意識に多くの”煩悩”を抱えています。金持ちになって贅沢してみたいとか、魅力的な異性と付き合いたいとか、仕事で上司に駄目出しされてプライドを傷つけられ怒ったり、腹を立てたり、自分が欲しかったブランド品を友人が身につけていると羨ましいと思ったり、嫌いな人が幸せ真っ只中だと憎たらしく思ったり……

 こういった悲しく苦しい感情は、程度の差はあっても絶えず私たちの心の中にあって、消えることがありません。”仏さま”の心とは似て非なるものです。これでは”さとり”などひらけるワケはありません。

しかし阿弥陀さまはそんな私たちに「そのままのあなたでいいよ」と言うのです。

阿弥陀さまはつづけて

「そんな困ってるあなたを私のお浄土に生まれさせるために、四十八願という綿密な計画と、長い修行の成果を言葉に詰め込んで、南無阿弥陀佛という声に仕上げ、完成させたのです。これを是非受け取ってください」

と言われます。

だから私たちは、南無阿弥陀佛という阿弥陀さまの呼び声を素直に受け取ることで、お浄土の世界への道が開け、さとりを得ることができます。


 ・【衆生往生の果】

では次に「お浄土に生まれ、仏にならせていただいた者はどうなるのか」ということですが、阿弥陀さまの浄土に生まれた者は、阿弥陀さまと同じ”さとり”をひらきます。これも南無阿弥陀佛のはたらきです。そして阿弥陀さまとおなじはたらきをしていくのです。


 ・【釈尊の勧誡】

「衆生往生の因果」の説明が終わると、お釈迦さまの「オススメ」と「いましめ」がつづきます。

お釈迦さまは「この世は煩悩によって苦しい世界ですから、その苦しい世界を離れて、極楽浄土へ行くのがオススメですよ。」と言われます。そして「三毒段」「五悪段」という箇所で、現代に生きる私たちも耳をふさぎたくなるような人間の愚かさを説明し、「こういう愚かな生き方をしてると報いを受けるのが道理なんですよ、だから日々の行いをつつしみましょうね。」といましめられるのです。

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