浄土三部経

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 「浄土三部経」とは簡単に言えば、「浄土真宗」という仏教教団が一番大事にしている三種類のお経のことです。

大無量寿経」だいむりょうじゅきょう(上下巻)

観無量寿経」かんむりょうじゅきょう

阿弥陀経」 あみだきょう

の三種類です。



 ・”お経”と”宗派”の密接な関係


 「浄土真宗」という宗派はこの三部経を大事にしています。

「宗派」とは、「仏のさとり」に至る様々な道筋です。

現代に存在している仏教宗派は、日本の中だけでも、たくさんの宗派に細かく枝分かれしています。

しかし、それらは全く別なものというワケではなく、もともとはお釈迦さまが説かれた膨大な量のお経(教え)をもとに成り立っています。

”仏教”と呼ばれる宗教は、何宗であってもルーツを辿れば、お釈迦さまの説かれた教えが基礎となっているのです。そしてその宗派で選ばれたお経の内容がそのまま、その宗派の考え方であり、”さとり”に向かう道筋であり、救われていく手段なのです。



 ・お経は無数にある


 現在、仏教の宗派がたくさん存在するということは、膨大な量のお経がもともと存在するということです。そしてそのお経のほとんどはお釈迦さまによって説かれました。

そもそも「お経」とはなんなのでしょうか?

「お経」とはお釈迦さまが弟子たちや信者たちに向けて説かれた”教え”とそれにまつわる”ストーリー”だと思ってください。

お釈迦さまの説かれた膨大な量の説法は、ある時期まで弟子達の”記憶”、”暗唱”によって語り継がれていたのですが、長い月日を経て全て書物に収録されました。それを全てひっくるめたものを「大蔵経」と言います。膨大な量です。

 ではなぜ膨大な量のお経が存在するのか。その理由は「対機説法」というお釈迦さまのお説教スタイルにあります。

 どういうことかと言うと、お釈迦さまは弟子一人ひとりに対して、その人の性格、今までの人生、持っている能力に合わせた法の教え方をされたそうです。”さとり”の境地に導くために、一人ひとりにコミットされたのです。その結果、同じお釈迦さまが説かれた教えでも、切り口が違ったり、手法が違ったり、場合によっては真逆のことを説いているお経が存在したりするのですね。だからこそ膨大な量のお経があるのです。

仏教のお経や宗派がたくさんあることをよく「八万四千の法門」と言いますが、これはお経が84,000種類あるという意味ではなくて、お釈迦さまはそれだけ数え切れないほどたくさんの教えを説いた、またそれだけ性質の異なる人々に救われていく道を示してきた、という例えです。

では、そのたくさんのお経は言ってることも違うし、目的も違うのかといえば、そうではありません。

 仏教ではどの宗派であっても、最終的なゴールは「さとりの境地に至ること」です。もっと簡単に言えば「こだわらない、かたよらない、とらわれない」存在になることです。


 

 ・どんな道、手段を使うのか?


ではどうやってその”さとりの境地”になるのでしょう。

このことについて、よく登山に例えられます。

 頂上は「さとりの境地」、そこに行き着くまでの”ルート”がたくさんあるとします。すると、いろんなタイプの人がいますから、ゆっくりクネクネ道を登る人もいれば、険しい坂道を駆け上がる人もいるのではないでしょうか。怪我をしてるからヘリコプターで頂上まで連れて行ってもらう人もいるでしょう。

さて、このそれぞれの道筋が日本仏教の細かく枝分かれした”宗派”であり、その道を迷わず進むための指標となる立て看板が”経典”、お経なのです。

仏教各宗派を最初に立ち上げた”祖師”と呼ばれる方々は、無数にある経典群の中から「この道だ!!」と共鳴したお経を選び、土台に据えます。さらにその上に独自の切り口、感性をもって、ひとつの宗派が生まれるのです。

例えば、こっちの宗派ではいつも読むお経を、あっちの宗派では読まないということがあります。同じ仏教であるはずなのに、なぜこういった違いが生じるのでしょうか。

それは”道筋”が違うからです。

登山するのにスキューバダイビングの装備はいらないでしょうし、骨折して入院してる人に「富士山登りに行こう!」と誘う人も滅多にいないはずです。

お経、そして宗派がたくさんある理由は、その人その人が必要としている”道”(ルートや移動手段)を、それぞれが選びとっているということです。


 ・浄土真宗において選ばれた三つのお経


浄土真宗では先に述べた「大無量寿経」「観無量寿経」「阿弥陀経」の三つが、指標となり拠り所、ベースとなります。中でも「大無量寿経」は上下二巻あって、阿弥陀仏という仏さまのはたらきによって、すべてのものが救われていくことを示されている重要なお経典です。

昔からこれら三つのお経を「大経」「観経」「小経」と略して呼びます。


この三部経を選び出したのは、親鸞聖人の恩師(師匠)、法然聖人です。

浄土真宗は阿弥陀如来さまを本尊(一番大事な仏様)とする宗派でありますが、この阿弥陀さまのことについて説かれたお経はざっと二百数十部あるそうです。


その中から法然聖人が選び抜かれたお経が、この浄土三部経です。

法然聖人の著書「選択集」(せんじゃくしゅう)の中でこれらをまとめて「浄土三部経」と名付けられたのです。



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