息子が亡くなった日の話


今日の夕方、妻が初出産をしました。

男の子でした。安らかな顔で生まれてきました。そして、その30分後、息子はこの人間の世界での短い命を終え、息を引き取りました。



今、現時点で私の正直な気持ちは、生まれてきてくれた嬉しさや喜びの方が、死の悲しみを上回っています。生まれてきてくれてありがとう、親父にしてくれてありがとうって。それも、入院して次の日に、まだ日の高いうちに、なんて親思いの子だろうかと思いました。

結局のところ、何もわかってなかったのです。自分の初めての子が、生まれてきてすぐ死んでしまうなんて、当然悲しいものだろうと思っていたし、虚しさに襲われるだろうなと、自分の気持ちを決めつけていました。それを「覚悟する」ということと勘違いしていたのです。

しかし、いざ生まれた顔を見ると嬉しくて嬉しくて仕方がありませんでした。その30分は他の人からすればあっという間でしょう。「30分”しか”生きれなかったの、かわいそう」とも言われました。でも、私にとってその30分間が嬉しくて仕方なかったのです。もう感謝しかありません。

なぜなら、わずかな束の間の時間でも、この人間の世界で同じ時間がすごせた、そのことがこんなに嬉しいなんて、私は知らなかった。だから感謝しかありません。一般に「死」は悲しいものとして捉えられます。しかし、悲しみだけではないということを、目もまともに開くことのできなかった息子に教えられたのです。


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