”地獄”はこの世にある…此岸とは?



「彼岸(ひがん)」とは「彼の岸」、すなわちお浄土のことを指します。ではお浄土があちら側だとすると、こちら側は何というのでしょう?もっとわかりやすくいえば、彼の岸が”あの世”なら、何が”この世”なのでしょう?

仏教では彼岸に対してこちら側を、”此岸(しがん)”と呼びます。

 ”此”とは”ココ”という意味です。また此岸のことを”娑婆(しゃば)”とも言います。さらにこの娑婆は、”堪忍土(かんにんど)”とも言い、「我慢することの多い場所」であります。実際、現実社会は我慢することって多くないでしょうか?そればかりではないのも事実ですが…

 また”堪忍土”は、けがれた世界という意味で、”穢土(えど)”とも呼びます。このように、「この世」の色んな面を表して、様々な呼び名があります。

 この”穢土”は”浄土”の反対の言葉になります。

 浄土がさとりの世界ならば、穢土は”迷いの世界”です。どっちに行ったらいいのか、真っ暗闇で迷っている世界に、私たちは生きているのです。迷っていることに気づきもしないことが、本当に迷っているということでしょう。

 例えば、お酒を飲み始めて少し酔い始めた時には、「あ、すこし回ってきたな」と感じますが、いよいよ飲み過ぎて酔いがピークに達した人に「酔っぱらってるよ」と声をかけても、「まだ酔ってない!」と言い返すのと同じです。

 本当に迷いが深い時、それは自分では気づいてない時です。ですから、”自分が迷っている”という事実は、気づかされ、知らされて、初めてわかるものです。

迷っている人間は、死んだらドコへ行くのでしょうか。”あの世”には行ったことはないですか?覚えてないでしょうか?

「あの世」とは、あちら側でしょうか?こちら側でしょうか?

多くの人は”あちら側”と思われると思いますが、案外、こちら側かもしれません。

人間は6つの迷いの世界をクルクルと、永遠に回り続けているのです。この6つの迷いの世界を「六道輪廻(ろくどうりんね)」といいます。あなたが今、人間として生きているのは、たまたま、この世界にいるだけなのです。



【六道輪廻】(6つの迷いの世界)

 ① 地獄道……究極の苦しみの世界

 ② 餓鬼道……絶え間なく飢えの苦しみに悩まされる世界

 ③ 畜生道……人に蓄えられ、養われる、動物・魚・虫の世界

 ④ 阿修羅道…絶えず争い、対立し、戦い続けなければならない世界

 ⑤ 人間道……この人間の世界

 ⑥ 天道………六道の中では最高の世界。しかし、”なんでも手に入ってしまう虚しさ”という苦しみのある世界



この永遠のループからどうにか抜け出す道はないかと起こったのが「仏教」であり、このループから解き放たれることを「解脱」「成仏」といいます。

 私たちはとにかく目の前にあるこの「人間」の世界のことで、たくさん悩みます。たくさん我慢します。怒ることもあれば、欲張ることもあり、見て見ぬ振りもします。そんな心の繰り返しが、次のループ先を決め、迷いの世界から抜け出すことができません。

それが”この世”であり、”迷いの世界”です。

ですから、人間の世界にせっかく生まれたものは、今、阿弥陀さまのはたらきでお浄土に生まれさせていただき、仏に成らせてもらわねば、もったいないのです。

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