七祖の著述・発揮・呼称


 ・七高僧の著述


七高僧として選ばれたのには理由があります。その理由は4つあると言いましたが、そのうちの一つに「浄土教に関する著述」があります。すなわち、浄土教に関する書物を残されているということです。

では七祖それぞれの著述を見ていきましょう。


 龍樹菩薩…「十住毘婆沙論(じゅうじゅうびばしゃろん)」十七巻

 天親菩薩…「浄土論(じょうどろん)」一巻

 曇鸞大師…「往生論註(おうじょうろんちゅう)」二巻、「讃阿弥陀仏偈(さんあみだぶつげ)」一巻

 道綽禅師…「安楽集(あんらくしゅう)」二巻

 善導大師…「観経疏(かんぎょうしょ)」四巻、「法事讃(ほうじさん)」二巻、「観念法門(かんねんぼうもん)」一巻

 源信和尚…「往生要集(おうじょうようしゅう)」三巻

 源空聖人…「選択集(せんじゃくしゅう)」


このほかにも、浄土教に関して書物を残されている方もおられますが、浄土真宗では以上の著述を重要視しています。そしてこれらの著述をまとめて「七祖聖教(しちそしょうぎょう)」とよんでいます。



 ・七祖の発揮(はっき)


またこの七祖と呼ばれる方々は、「七祖の発揮」開顕の釈功(かいけんのしゃっこう)」というものを示しています。

 これらはどういうことかというと、「阿弥陀さまのご本願のはたらき」の確かさについて、それぞれ独自の視点で「これは間違いない教えである」という説明をされた「解釈」ということです。

そしてその解釈の内容が「阿弥陀さまのご本願」にふさわしいことが重要なのです。

ではその「発揮(はっき)」とはどんなものか見ていきましょう。「七祖の発揮」には、昔から伝わる言葉があります。その下の()内は、それに対応している「正信念佛偈」の言葉です。


龍樹菩薩…「二道(にどう)の鴻判(こうはん)は南天(なんてん)の功

        (難行の陸路、苦しきことを顕示して、易行の水道、楽しきことを信楽せしむ)

天親菩薩…「宣布一心(せんぷいっしん)は北天(ほくてん)の功

        (広く本願力の回向によりて、群生を度せんがために一心を彰す)

曇鸞大師…「顕示他力(けんじたりき)は雁門(がんもん)の功

        (報土の因果誓願に顕す 往還の回向は他力による)

道綽禅師…「二門廃立(にもんはいりゅう)は西河(さいが)の功

        (道綽、聖道の証しがたきことを決して、ただ浄土の通入すべきことをあかす)

善導大師…「古今楷定(ここんかいじょう)は終南(しゅうなん)の功

        (善導独り仏の正意をあきらかにせり)

源信和尚…「報仮弁立(ほうけべんりゅう)は横川(よかわ)の功

        (専雑の執心、浅深を判じて、報仮二土まさしく弁立せり)

源空聖人…「弘興選択(ぐこうせんじゃく)は吉水(きっすい)の功

        (真宗の教証、片州に興す 選択本願、悪世に弘む)



 ・七祖の呼称の由来


発揮の内容についてはそれぞれの七祖のページで述べますが、”南天”とか”北天”と言ってるのは、いったいなんのことでしょう。

これは、各高僧がたの別名であり、出身地や住んでいた地域の名前になります。真宗の関連書物などでは、七高僧の名前を直接書かず、敬意をもってこの別名で呼ばれたりもします。また別名にもいくつか種類があります。


龍樹菩薩=南天…南天竺(なんてんじく)、南インドの出身であるから

天親菩薩=北天…北天竺(ほくてんじく)、北インドの出身であるから

     世親(せしん)…天親は旧訳、世親は新訳

     論主(ろんじゅ)…浄土論の著者という意味で論主

曇鸞大師=雁門…出身地の名前

     玄中寺(げんちゅうじ)…一時居住された寺の名前

     論註主(ろんちゅうじゅ)…「往生論註」の著者という意味

道綽禅師=西河…居住された玄中寺の地域名

善導大師=終南…居住された寺のあった山の名前

源信和尚=横川…居住された比叡山内の地名

     恵心(えしん)…居住された寺の名前

源空聖人=法然…居住された部屋の名前

     吉水…居住された京都の地名

     元祖…日本において、浄土宗を独立された祖師という意味

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