善導大師の「九品唯凡」について 


 善導大師は、それまで主流であった『観経』の解釈の間違いを正し、真意を明らかにしました。これを「古今楷定(ここんかいじょう)」と言います。

善導大師は『観経疏(かんぎょうしょ)』という「観経」の解説書を作成し、そこで、今までの解釈の誤りを正す主張をされました。



 ・「九品(くぼん)」の解釈


「九品(くぼん)」というのは、『観経』に登場する考え方で、お浄土に生まれることを願うものを、9種類に分ける考え方です。

   

【九品】


上品(じょうぼん)ー上生①

         ー中生②

         ー下生③

中品(ちゅうぼん)ー上生④

         ー中生⑤

         ー下生⑥

下品 (げぼん) ー上生⑦

         ー中生⑧

         ー下生⑨

このように浄土に生まれることを願うものには、上品上生(じょうぼんじょうしょう)から下品下生(げぼんげしょう)までの9つのカテゴリーがあります。さらに大きく分けると①〜⑥を”善人”、⑦〜⑨を”悪人”とになります。

①〜⑥番までのカテゴリーの者は、修行法を実践したり、厳しい決まりを守ることのできたり、最低でも世間的に善い行いができる者(善人)とされます。

しかし⑦〜⑨の下品の者は、修行や決まりを守れず、(仏教的に見ても世間的に見ても)悪いことをしても気づきもしない者たち(悪人)であると説明されます。その者たちは本来であれば地獄行きなのですが、ここでお釈迦さまは「お念仏(南無阿弥陀佛)」を説かれるという内容です。



これを踏まえた上で、善導大師以前の、聖道門の方々の九品の解釈は、以下のようになります。


 ・聖道諸師の解釈


 【上品】…大乗仏教の修行を積んだ聖者

 【中上・中中】…小乗仏教の修行を積んだ聖者

 【中下品】…世間的な善を積んだ聖者

 【下品】…大乗の修行を学び始めた初心者の凡夫



これに対し、善導大師は、以下のように解釈します。


 ・善導大師の解釈


 【上品】…大乗仏教の縁に遇った凡夫

 【中品】…小乗仏教の縁に遇った凡夫

 【下品】…悪縁に遇った凡夫


このように、聖道門の諸師は「上品・中品」を”聖者”とし、「下品」だけを”凡夫”と捉えるのに対して、善導大師は、境遇は違えども、九品すべてが”凡夫”であるという見方をされたのです。

これは、『観経』に説かれる救いは”凡夫”が対象であり、「九品」すべてのものが救いの対象であるのだという見方です。

この「九品はみな凡夫である」という主張を、「九品唯凡(くぼんゆいぼん)」と言います。


『観経』に説かれる救いの対象は、すべての凡夫であり、どんなものも、阿弥陀さまの救いの光に照らされているのだということを、善導大師はこの『観経疏』で明かされたのです。

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